乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインを受けて保育者が考えるべきこと

 以下、厚生労働省から公表されている「乳幼児突然死症候群(SIDS)」に関するメモです。最新のガイドラインは平成17年に公表されていますが、先日、ある機会に、あらためて目にふれることがあり、ちょっと書き記しておきます。

乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について:

乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインについて、厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断のためのガイドライン作成およびその予防と発症率軽減に関する研究」(主任研究者:坂上正道北里大学名誉教授)においてとりまとめを行ったので、別添のとおり公表します。

 このガイドラインができたことによって、SIDSの疑いがもたれる症例については解剖が義務付けられました。それまで全国の保育園で、子どもが預けられていた最中に起こった症例については、残されたご遺族への配慮から、

そのほとんどの事案において解剖されることはなかったと言われています。

そして、その診断結果に、SIDSとの診断がつけられず、でも、他の原因も特定できず・・・といった場合には、『SIDSの疑いあり』という形で決着づけられました。ただ、その“疑いあり”・・・とは、「窒息死かもしれない」という疑いを拭い去ることもできず、

保育園側の過失による事件性が消えることはなく、ご家族と保育園との間のワダカマリは消えずに、あとあとまで残っていくことになります。

 残念なことに乳幼児突然死症候群の原因は、未だに解明されていません。

もし先天性のものであったならば、防ぎようのないものなのかもしれません。でも、今まで乳児がSIDSによって亡くなる瞬間に立ち会った人間がいないこともふくめて、状況やタイミングによっては、気づかずに予防できている、もしくは蘇生が可能な病気なのかもしれません(※)。

※ 現在のところ SIDSは普通に寝ている範囲で呼吸困難に陥りそうになったときなど、呼吸をしやすい姿勢をとろうとするといった「覚醒反応」が見受けられる状況で、その覚醒反応が何らかの原因によって妨げられて呼吸停止に至ると推測されていることから、

その『何かを取り除く』ことで防げる可能性の高い病態、または、発見が早く適切な処置がなされれば、無呼吸状態から脱っすることで蘇生する可能性が考えられています。

※ しかし最近の研究では、SIDSを患う乳児には、その覚醒反応が妨げられる要因が、先天的に脳にあるのかもしれないという説が有力になってきているようです。
ただし、その脳にある何らかの因子が必ず発動するものなのか、これまで同様に発症を防げるものなのかは、未だに不明です。

さらに、このガイドラインによって、保育園における「不審死または変死」について必ず解剖されるようになったとはいえ、まだ窒息とSIDSの区別がつかないケースがたくさんあることに変わりはありません。それには、以下の項目も関係しているといいます。

II 診断に際しての留意事項:
4) 外因死の診断には死亡現場の状況および法医学的な証拠を必要とする。外因死の中でも窒息死と診断するためには、体位に関係なく、ベッドの隙間や柵に挟み込まれるなどで頭部が拘束状態となり回避出来なくなっている、などの直接死因を説明しうる睡眠時の物理的状況が必要であり、通常使用している寝具で単にうつぶせという所見だけでは診断されない。また、虐待や殺人などによる意図的な窒息死は乳幼児突然死症候群(SIDS)との鑑別が困難な場合があり、慎重に診断する必要がある。

 ようするに、誰の目にも見て分かる、窒息の原因となった異物が見つかるか、窒息に至る現象が判明しない限りは窒息とせずに、「不詳」にしなさいということで、同時にそれは、保育園や保育者の法的な過失責任を曖昧なものにすることから、

最愛の我が子が亡くなった詳しい状況を知り、家族が心の整理をつける機会を奪われることにつながってしまっているのです。

虐待や業務の怠慢によって尊い生命が奪われた場合は問題外としても、

保育中の不審死(変死)が、すぐに刑事責任を問われるようになってしまったら、それが、子どもの生命を失わせたからとか、残された家族のためだといっても、正直、好ましいことではないようには感じるので、厳格な直接証拠を求める姿勢は望ましい部分もあります。

しかし保育者は、こういった法や医学の限界を迎えた背景を考えることで、あらためて子どもたちを養育する立場の保育者にしかできないことや、気をつけようという掛け声以上に、さらなる事態の打開を求めて行わなければならないことが見えてくるはずです。

保育者はSIDSを防いで終わりではありません。

防げることが第一でありながらも、万が一にも防げなかったときこそ、心から保育者でありつづけられるかが問われるのではないでしょうか。

そのために、日頃からできることは何か考え続けなければならないのだと思います。



“乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインを受けて保育者が考えるべきこと” への3件のフィードバック

  1. 遠藤ノボル より:

    乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインを受けて保育従事者が考えるべきことについて http://bit.ly/bMitcY #hoikuen #hoiku

  2. Noboru ENDOH より:

    最近の保育に関する訴訟や事故報道について考える傍ら、昨年書いた記事ですが、ちょっと書き直してみました / 乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインを受けて保育者が考えるべきこと http://bit.ly/i5Eloy #hoiku

  3. nurseryonline より:

    最近の保育に関する訴訟や事故報道について考える傍ら、昨年書いた記事ですが、ちょっと書き直してみました / 乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインを受けて保育者が考えるべきこと http://bit.ly/i5Eloy #hoiku

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