日本版ガイドライン2010 心肺蘇生法 (3) 心肺停止の子どもの特性と呼吸原性
- 2011年02月18日
- 心肺蘇生法ガイドライン
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- 事故と心肺蘇生法, 保育と子どもの診方, 園で命を預かること
心肺蘇生法のやり方が、日本版ガイドライン2010を土台にするものへと更新されたことに関連してお届けしています。今回は、主に人工呼吸と胸骨圧迫の順番が入れ替えられた背景についての2回目です。
心臓が動かないと血液がカラダ中に巡らない。血液が巡らなければ、酸素や栄養源が脳などにいかずに、人間も動物も亡くなってしまうわけですから、行動を促すためにも胸を押すことから行なう順序が強調された、その重要性は理解できると思います。

アメリカでは、心肺蘇生法などの訓練を受けたことがない人については、人工呼吸はしなくてもいいから、救急隊が到着するまで、とにかく胸だけ押していなさいと教えるぐらいです。
日本版ガイドライン2010について言えば、できる限り一般市民も訓練を受けた上で、特に子どもに対しては、胸を押すだけではなくて、準備ができしだい人工呼吸も一緒に行なうことが望ましいと考えられています。(※ できる限り多くの一般市民が、訓練を受けることが望ましいと考えているのは、どの国も一緒です)
CPRは胸骨圧迫から開始する。一方、小児の心肺停止症例においては人工呼吸の有効性が明らかである。したがって、小児のCPRにおいては、準備ができしだい早急に人工呼吸を開始することを強調した。
http://jrc.umin.ac.jp/ JRC(日本版)ガイドライン2010(ドラフト版)
それは、世界中で以下のような科学的な証明があるからです。
日経メディカル2010年7月号「トレンドビュー」(転載)
小児には人工呼吸も重要
市民による心肺蘇生法のピットフォール従来法と胸骨圧迫のみの心肺蘇生法を比較。(中略)従来法が胸骨圧迫のみの心肺蘇生法よりも生存率や神経学的予後を大幅に改善することが分かった(表1)。
http://medical.nikkeibp.co.jp/ メディカルオンライン
さらに、なぜ、子どもについては人工呼吸を加えたほうが、命が助かり元気に回復する可能性が高まるのかというと、次のような大きな理由があります。
小児・乳児の心肺停止の原因としては、心停止が一次的な原因になる(心原性心肺停止)ことは少なく、呼吸停止に引き続いて心肺停止となる(呼吸原性心肺停止)ことが多い。
http://jrc.umin.ac.jp/ JRC(日本版)ガイドライン2010(ドラフト版)
「心停止が一次的な原因になる」とは、要するに、ドロドロ血が体内を巡って、動脈硬化や心筋梗塞(※)によって、あるとき突然、心臓が動きを止め急に倒れるような状況を指します。これが、年を経て血管や心臓を動かす筋肉に柔軟性がなくなってくる大人に多く出ます。
子どもは、もともと血管や心臓に病気をもっている場合や、心臓や血管に対して大きな負担をかけるような事故が起きない限りは、自然な形で、呼吸より先に心臓が止まるようなことは、ほとんどないものと考えられています。
※ 冠動脈の血管壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進む/(中略)/冠動脈がさらに狭くなって「完全にふさがって血液が通じない」ままになりますと、その部分の心筋細胞が壊死して、症状も長時間続く//状態を急性心筋梗塞症と呼びます。
http://www.ncvc.go.jp/ 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
過去の、幼稚園や保育園の事故事例の中に、すでに帰宅したはずの子ども、クラスにみんなと一緒にいるはずの子どもが、園庭や遊戯室などで、意識なく倒れているところを発見されたケースがいくつかあります。
その中には、発見した時点で心肺停止だったケースもありました。
そのようなとき、複数の職員が一緒に探していた場合や、または、その場で助けを呼んだら、すぐに隣のクラスの職員が来てくれたような場合を除いて、もし、職員室までは2・3分かかる、携帯電話はもっていないといった場面など、
主に呼吸原性で倒れる可能性の高い子どもについての対応は、その状況に合わせながら、子どもにとって、一番、有効性の高い行動をとらなければなりません。
次回は、その辺りの、ひとりで対処する場合と、一度に複数で対処するチーム救急との違いや、日頃から考えておくとよいこと、そして、やるべきことについて触れていきます。


