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- 遠藤 登(保育士 / 防災士)
遠藤 登(保育士 / 防災士)
代表:遠藤/専門:保育の安全管理・衛生管理/保育事故の対策、感染拡大の予防、医療的ケア児ほか障害児の増加など医療との関わりが深まる一方の保育の社会課題の解決にむけて、保育園看護師の業務改革ほかリスク管理が巧みな保育運営をサポート
東京と大阪の保育施設で、うつぶせ寝を原因とした窒息で、同じく1歳の子どもが亡くなりました。睡眠中の安全について、保育の安全研究・教育センターの掛札先生がお書きになったので、突然死リスクの低減と異常の早期発見に対して参考になさってください。 睡眠中の安全(2016年4月14日)1)窒息死の予防最低限0、1歳クラスでは、まず窒息死を予防する行動をします。窒息死は予防できる死亡であり、予防の取り組みをしなかった場合は過失を問われる可能性もあります。引用:保育の安全研究・教育センター http://daycar ...
平成28年3月に公開された、「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」(以降、保育の安全ガイドライン)は、例示が多いかわりに、同様の内容を扱いながらも構成がバラバラのため、読んだ人が混乱する不安があります。そこで最初に保育の安全ガイドラインの中の、窒息時対応について情報の補足を行ないました。 その第2段として、方々に散りばめられた『事故発生時の基本的な流れ』を、市民用の一次救命処置の流れに重ねてまとめてみました。主に【発生時対応】の14ページと、15ページをもとに、【施 ...
平成27年12月の「特定教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会 最終取りまとめ」以来、3か月間にわたった調査研究事業検討委員会を経て、内閣府から教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインが公表されました。 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#guidelines 公開されたガイドラインの【事故防止のための取組み ~施設・事業者向け~】に、再発防止のための参考例として、「誤嚥 ...
2016年の元日も高齢者を中心とした窒息事故が複数件起きました。高齢者にとってお餅は危険ですが同様に幼児期の子どもにとっても最も危険な食べ物のひとつです。保育施設で安易に食べさせているとは言いませんが、「食文化の継承」を理由にお餅を食べさせるのは止めるのも大切な選択肢といえるほどです。お餅が子どもにとって危ない理由は「事故が起きているから」というだけのものではありません。お餅という食べ物と、子どもの体の仕組みにかかわる問題です。 子どもがお餅をおいしく食べるには、まず安全であってこそです。お餅を小さく切る ...
窒息事故について対応する研修を行なうと、「指を入れて掻き出そうとして指を噛まれた」という悩みや、「水を飲ませるのは?」という疑問を尋ねられます。そのほかにも背中を叩くタイミングがズレていたり、叩き方が弱弱しい実例を聞くこともあります。 これらは効果が低いばかりか、子どもを危険に陥れる可能性も高まります。指を入れない、水を飲ませないで別の方法が選択できる、適当なタイミングで背中へ効果のある叩き方を行なうためには、保育者も、発育における「摂食と嚥下」の仕組みを知ることが大切です。 食べ物をノドに送り込む摂食 ...
人口動態統計をみると、0歳児が亡くなった理由の7割~8割が窒息です。保育現場だけでも、「息ができない」ことで亡くなる事故が毎年のように繰り返されています。それはうつぶせ寝による突然死以外にも、食事中など、何気ない日常のひとコマで見られます。 食べ物がノドに詰まって窒息した場合、背中をつよく叩く方法(背部叩打法)が、よく知られています。0歳時はカラダが小さいので、衝撃からカラダを支えるように抱えます。 この、子どもの首を支えたままの腕の上に、その胸とお腹まで乗せて背中を叩く(写真は仰向けにしての胸部突き上 ...
保育を仕事にする者(保育所職員や幼稚園教諭、そして保育ママやベビーシッターなど)は、保育の利用者と保育の契約を結びます。保育の契約を結ぶと、保育をするにあたって、子どもの事故に対する法的な注意義務や安全配慮義務が発生します(※)。しかし、どれだけ安全に配慮しても事故は起きるものです。もし事故が起きたら、死亡するといった重大な結果を向かえないように、適切に対応する役割をもつ「対応義務者」でもあります。 保育事故で最も問題となる債務者の義務は、安全配慮義務です。(中略)子どもの生命、身体、財産といった権利、 ...
保育施設等で深刻な事故(死亡事故および治療に要する期間が30日以上のケガや疾病を伴う重篤な事故等)が発生した場合は、当該施設が所在する市区町村の保育担当課を通して都道府県への報告が義務づけられています。同時に報告を受けた地方自治体では委員会を設置して、類似事故の再発防止にむけた取り組みのあり方について検証することとされています。 死亡事故等について検証が行なわれることで、再発防止にむけた取り組みが進むことが期待されます。いうまでもなく、すべての保育施設と、職員は実際に類似事故を回避する役割を担っています ...
日本病児保育協会の「保育スキルアップ・オープンセミナー」(2014年9月27日(土)10:00~11:45)救急救命講座「5~6分が生命の分かれ目! 保育の現場に潜む『子どもの窒息』即時対処法」受講者募集のお知らせです。子どもの救命処置というと、子どもが高いところから落下したりしたことで負った大きな怪我への手当てを思い浮かべることが少なくありません。 しかし保育現場で子どもが命を失う深刻な結果を招いた事故の多くが、実は「窒息」(息ができなくなる出来事)です。窒息事故はあらゆる保育現場で起こっています。窒 ...
保育中に子どもの「かみつき」があったら、可能なかぎり早く噛まれた子どもの患部を冷やすことが大切です。患部を冷やすにはアイスノンなど保冷材でもいいですが、できれば氷嚢(ヒョウノウ)がおすすめです。硬い保冷材では冷却にムラが出るのに対して、氷嚢は患部と、その周辺に対して均一に密着することで、患部の炎症をしっかり冷やすことができます。 乳児保育担当の保育者から、ミミズ腫れや青あざを手当てする(消す)方法はないかといった質問をたくさん受けますが、青あざなどの噛み跡は、残念ながら”消す”ことはできません。噛み跡の ...
保育者は、安全な保育のためにどのような専門技能を習得したらいいのでしょうか。保育事故の訴訟報道には必ず「注意義務」という言葉が出てきます。福祉の保育もサービスの保育も仕事として契約した時点で注意義務や安全配慮義務が伴います。子どもの危機を予知して具体的な回避策を講じるとともに、防ぎきれなかった事故に対する対応が求められています。 保育の職務に応えられる技能習得が望ましいですが、消防署の普通救命講習の受講だけで、保育の仕事の安全配慮といった専門性を満たすことは難しそうです。保育を仕事にする上で習得しておき ...