事故報道から再発防止策を考える

保育で起きた重大事故の分析および再発防止に関する各検証委員会報告書について

プール・園外保育関連の事故報告書

  • 消費者安全法第 23 条第 1 項に基づく事故等原因調査報告書
  • 特定教育・保育施設等重大事故検証報告書
  • 新町保育園園外保育事故調査委員会報告書
  • 京都市認可保育所「せいしん幼児園」に対する調査報告書

うつぶせ寝・午睡関連の事故報告書

  • 東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会報告書
  • 山口市保育施設等事故検証委員会報告書
  • 認可保育施設における午睡中の死亡事例に関する検証報告書

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給食やおやつ関連の事故報告書

  • はこのもり保育園誤嚥事故調査委員会事故調査報告書
  • かしの木保育園における事故報告書
  • 福山市立保育所で発生した保育中の事故の検証等に関する報告書
  • 南粕谷保育園やけど事故検証委員会報告書

施設管理に関わる事故報告書

  • 葉山町特定教育・保育施設等重大事故検証委員会報告書
  • 上尾保育所事故調査委員会報告書
  • 京都市認可保育所「春日野園」に対する調査報告書
  • 善通寺市教育・保育施設等事故検証委員会報告書

保育の重大事故の検証委員会報告書をよむ

 「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」(平成27年12月21日最終取りまとめ済み)において、保育施設の運営の透明性を高めて、重大事故について十分な検証を行ない再発防止につなげる制度について話し合われました。子ども・子育て支援新制度の施行にともない、保育施設側の重大事故に対する責任ある対応が問われています。

教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会(第3回)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kyouiku_hoiku/k_3/index.html

認可保育所であるとか、認可外保育施設といったことと関係なく、社会インフラとして安心安全な保育運営が行なわれるように一体的に重大事故を減らす必要があります。保育施設における死亡事故を、類似事故としても繰り返させないために、保育所を管理監督する各自治体が公表した検証報告書を広く読みすすめることが大切と考え、ここにご案内いたします。

教育・保育施設等における重大事故の再発防止策について
(中間取りまとめ案)平成26年11月17日
論点1:重大事故の情報の集約のあり方について、どう考えていくか
論点2:集約した情報の分析、フィードバック、公表のあり方について、どう考えていくか
論点3:事故の発生・再発防止のための支援、指導監督のあり方について、どう考えていくか

検証報告書は客観的に保育を見つめる機会になる

杜撰な事故対応が問われた訴訟の多くで、原告側の「注意義務を怠った」という訴えに対して、被告側は「見守りに努めていた」が「なぜ起きたかは判らない」と返しています。これでは「頑張ったつもりだが、何をしたらいいかが解っていなかった」と言っているようなものです。頑張っているつもりで、できていない事柄というのは、事故が起きて気づかされる場合も少なくありません。検証報告書を読むことは、客観的に保育を見つめ直す機会になることでしょう。

再発防止のために報告書を読むときは、「よい保育」と「危険な保育」という分類を決して行なわないことが大切です。よい保育を行なえば事故は起きず、危険な保育をするから事故がおきるわけでは決してありません。すべての保育について事故が起きる危険性がある前提で、自らの保育を振り返っていく視点に立って事故を招いたプロセスを読み解きましょう。

事故防止のガイドラインと保育の事故データベースで補足する

平成27年12月の最終取りまとめを踏まえて、保育施設における事故防止と事故発生時の対応の推進に向けた「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が作成、発表されました。特定教育・保育施設等における事故情報データベースに掲載されつづけている事故事例も参考にしながら、保育の事故対応について技能を高めましょう。

「息子の死を再発防止につなげたい」(※)遺族や保育の事故を検証した関係者の想いに応えるために、あなたの目の前で起こる同種ながら、別の、重大な結果を招く事故に対応できるように、保育関係者がこれらの報告書を読んでいただけることを願っています。

  1. 教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#guidelines
  2. 特定教育・保育施設等における事故情報データベース
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#database

(※)プール事故死した3歳長男「生と死」の意味はどこにある…法廷の両親の思い、「再発防止」の願いは届くか
(2014.12.21 産経ニュース)
こうした現状を、名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)は「教育現場の多くの事故は『不可抗力』とされる。そのため、次の事故を起こさないための事実究明と共有が行われていない」と批判。「対策を怠ったから起きた事故がたくさんある」と、事実究明と情報共有の重要性を強調している。それは「息子の死を再発防止につなげたい」と、裁判にかける両親の思いと共通するものだ。

川遊びといった園外保育ほかプール関連の事故報告書

プールあそびの危機管理を大和市幼稚園教諭のプール水死事故から考える
 大和市の学校法人西山学園「大和幼稚園」のプール遊びの水死事故で、業務上過失致死罪に問われた元担任教諭に対して、求刑通り「罰金50万円の判決」が出ました。この事故が起きたひとつひと

本件事故については、映像記録など客観的な証拠がなく、また、関係者の口述からも、男児が何をきっかけに溺れたのかを断定することはできなかった。しかし、男児の溺水が死亡につながった原因として、(1)プール活動中の園児の監視体制に空白が生じたために発見が遅れた

さいたま市保育園のプール死亡事故報告書を読み解いて安全なプール開きを実施しよう
 猛暑が予想される今夏。梅雨明けとともに水あそびやプール開きを考えている保育施設も多いことでしょう。同時に水あそびの規模やプールの大きさに照らして一律に安全対策を求められても困ると

保育士は、多摩川における園外保育の経験がなかったことから、報告の際、園長が提案した水遊び場所の位置関係が確認できなかったものの、園長自身が園外保育当日の芝滑りが終わった頃、現場に赴き、保育士に水遊びの場所を教えることで決着していた。また、園長もD保育士に計画全般にわたる詳細な報告を求めなかったために、危険な場所についての安全性の確認はしていなかった

本調査では原因を断定することはできなかったが,いずれにせよ,発見されるまでの一定の間,呼吸停止状態があったことが認められる。またプール活動における監視体制の役割分担が不明確であったため,その瞬間を見ていた者はいなかった。

うつぶせ寝による窒息ほか午睡関連の事故報告書

白玉団子による気道閉そくなど食事時間関連の事故報告書

本件事故の原因が、本児に原形の白玉団子が提供された点にあることは明らかであるが、この背景には、各職員の職務分担が不明確で、各職員が、「誰かが適切な対応をとる」あるいは「誰かが問題ないと判断したのであろう」と考え、危険性が指摘されなかったという問題がある。

保育施設における重大事故の検証に関する考察

資料1-A

提言1.
・保育士一人ひとりが事故発生後すぐに記録する様式を定め、それをもとに行政が詳細調査を行い、事故概要をとりまとめる報告様式とするべき
提言2.
・児童虐待の検証制度と同様、国・自治体双方に重大事例の分析の責務を規定すべき。
・あわせて、重大事故の検証に関する役割分担や検証方法を示すガイドラインを策定するべき。
提言3.
・児童虐待の検証制度と同様、自治体の検証結果を国にて収集・分析して公表するべき。
・詳細結果の公表とともに、現場ですぐに使える形式での公表・データベース化をするべき。
提言4.
・平常時は質向上の指導、事故発生時には速やかに事故後の対応にあたるための専門職員を各自治体に配置するべき。

当初、保育所に対する聞き取りでは、適切な見守りの中で発生した出来事として捉えていた本件であるが、ご遺族様による詳細な聞き取りの結果、必ずしも適切な見守りではなかったことが後日推察されるなど、種々の問題点や市としても反省すべき点が浮かび上がってきた。
「かしの木保育園における事故報告書」P.2 はじめに

保育体制の空白といった重大な運営管理における事故報告書

葉山町保育園の転倒して腹部損傷を負った事故と保育所職員の応急手当の課題
 神奈川県三浦郡葉山町の保育園で発生した事故の検証報告書を振り返りながら、子どものケガの調べ方に関する保育者の課題と応急手当をするときに心掛けたいポイントについてお届けします。本件

本件事故ではっきりしているのは、2人の担任保育士は被害児童の所在を最終的に確認したのが8月10日10時30分頃であり、それ以降11時35分頃までは全く被害児童の所在、動静を含めて2人の保育士は勿論、上尾保育所の保育士らが正確には把握していない

  • 筆者紹介
  • 最新記事

遠藤 登(保育士 / 防災士)

1993年に保母資格と教諭免許を取得。幼稚園勤務等を経て保育所の園長職兼、子どもの傷病者対応を専門とした救命処置法の普及活動を開始しました。2011年お昼寝中に心肺停止した園児を救うことが叶わず現在の活動に至る。株式会社保育安全のかたち代表取締役/ 保育現場のリスクマネジメントをテーマとした書籍を執筆(単著・共著ほか)

書籍【保育救命】~保育者のための安心安全ガイド~

【読者の声】園で子どもたちをのびのびと遊ばせてあげたいけれど、安全面が気になってしまって、禁止ばっかりを作りがちでした。でも、ここにのっている、ハザードマップを作れば、事前に予防ができそうだし、とっても簡単なので、忙しい私たちでもできそうなので、早速やってみたいと思っています。 怪我の対処法も、チャート式で簡潔になっているのでわかりやすいです。かなりオススメですよ。【評価:★★★★★】

【読者の声】保育現場のケガの手当て、事故対応の決定版といえる1冊。チャート式で、緊急時に何をしたらいいかの判断がわかりやすいと大好評。ハザードマップをつかったヒヤリハットの対応から、不安の大きな保護者対応まで、これ1冊で準備できます。【評価:★★★★★】

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