保育の事故報道と再発防止策

保育施設で起きた重大事故調査および再発防止策に関する報告書のリンク先

保育施設で起きた重大事故調査および再発防止策に関する報告書のリンク先

保育施設で起きた重大事故調査および再発防止策に関する報告書のリンク先

 保育施設の運営の透明性を高め、もし深刻な事故が起きても十分な検証を行なうことができて、再発防止が叶う制度について検討する「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」が催されています。(平成27年12月21日最終取りまとめ済み)

教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会(第3回)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kyouiku_hoiku/k_3/index.html

ここでは現時点の国に報告を行う制度に基づいて、重大事故が起きた(死亡事故や治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴うケース)保育施設についての検証結果(未だ検証中をふくむ)の公表先をまとめました。後に「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」および事故データベースが公表されました。

保育の事故発生時の対応のための安全ガイドラインにあった窒息時対応の補足
 平成27年12月の「特定教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会 最終取りまとめ」以来、3か月間にわたった調査研究事業検討委員会を経て、いよいよ内閣府から保育の

保育施設の重大事故後の検証姿勢が問われる

 教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会が催されるのは、子ども・子育て支援新制度の施行が控えている以外に、これまでの保育施設側の、深刻な結果をもたらした事故に対する対応が問われているところが大きいと言えます。

教育・保育施設等における重大事故の再発防止策について
(中間取りまとめ案)平成26年11月17日
論点1:重大事故の情報の集約のあり方について、どう考えていくか
論点2:集約した情報の分析、フィードバック、公表のあり方について、どう考えていくか
論点3:事故の発生・再発防止のための支援、指導監督のあり方について、どう考えていくか

教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会(第2回)
かしの木保育園における事故報告書(内閣府Webサイト)
碧南市「保育事故」第三者委員会報告書
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kyouiku_hoiku/k_2/
http://www.city.hekinan.aichi.jp/kodomoka/(碧南市Webサイト)

当初、保育所に対する聞き取りでは、適切な見守りの中で発生した出来事として捉えていた本件であるが、ご遺族様による詳細な聞き取りの結果、必ずしも適切な見守りではなかったことが後日推察されるなど、種々の問題点や市としても反省すべき点が浮かび上がってきた。
「かしの木保育園における事故報告書」P.2 はじめに

安全管理から検証までが一貫した保育施設の体制づくり

 杜撰な事故対応が問われる訴訟の多くで、原告側の「注意義務を怠った」という訴えに対して、被告側は「見守りに努めていた」が「なぜ起きたかは判らない」と返しています。保育施設の職員には「危険を予知し、危険を回避する」注意義務と安全配慮義務、そして保育中に事故が起きた際には適当な処置を行なうこと、および説明責任が課せられています。

どれだけ安全に配慮をしても、人間とはミスをするもので想定外の事故は起きます。それでも例えば食事に関わる誤嚥(窒息)事故であれば、何もないところから突然現れるかのような事故ではなく、起こるべくして起きる事故に対する認識をもって、安全対策とともに保育ができていたなら、事故時の報告は違ったものになることでしょう。

白玉団子や川などリスクが軽視されて起きた事故

はこのもり保育園誤嚥事故調査委員会事故調査報告書
(栃木市Webサイト)
http://www.city.tochigi.lg.jp/hp/menu000011000/hpg000010729.htm

本件事故の原因が、本児に原形の白玉団子が提供された点にあることは明らかであるが、この背景には、各職員の職務分担が不明確で、各職員が、「誰かが適切な対応をとる」あるいは「誰かが問題ないと判断したのであろう」と考え、危険性が指摘されなかったという問題がある。

園外保育事故調査委員会報告書(世田谷区Webサイト)
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/103/128/453/d00005883.html

保育士は、多摩川における園外保育の経験がなかったことから、報告の際、園長が提案した水遊び場所の位置関係が確認できなかったものの、園長自身が園外保育当日の芝滑りが終わった頃、現場に赴き、保育士に水遊びの場所を教えることで決着していた。また、園長もD保育士に計画全般にわたる詳細な報告を求めなかったために、危険な場所についての安全性の確認はしていなかった

保育体制の空白や時間の切迫が招いた事故

上尾保育所事故調査委員会報告書(上尾市Webサイト)
https://www.city.ageo.lg.jp/page/24-jikochousahoukoku.html

本件事故ではっきりしているのは、2人の担任保育士は被害児童の所在を最終的に確認したのが8月10日10時30分頃であり、それ以降11時35分頃までは全く被害児童の所在、動静を含めて2人の保育士は勿論、上尾保育所の保育士らが正確には把握していない

消費者安全法第 23 条第 1 項に基づく事故等原因調査報告書
(消費者庁Webサイト)
http://www.caa.go.jp/csic/action/index5.html

本件事故については、映像記録など客観的な証拠がなく、また、関係者の口述からも、男児が何をきっかけに溺れたのかを断定することはできなかった。しかし、男児の溺水が死亡につながった原因として、(1)プール活動中の園児の監視体制に空白が生じたために発見が遅れた

京都市認可保育所「せいしん幼児園」に対する調査報告書
(京都市Webサイト)
http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000173990.html
http://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/page/0000173990.html

本調査では原因を断定することはできなかったが,いずれにせよ,発見されるまでの一定の間,呼吸停止状態があったことが認められる。またプール活動における監視体制の役割分担が不明確であったため,その瞬間を見ていた者はいなかった。

重大事故とは『重大な結果』を伴う事故のこと

 再発防止のために報告書を読むときは、「よい保育」と「危険な保育」という分類を決して行なわないことが大切です。よい保育を行なえば事故は起きず、危険な保育をするから事故がおきるわけでは決してありません。(保育者による虐待や放置が別です)

全ての保育について事故が起きる可能性はなくならない中で、ヒヤリハットと呼ぶニアミスと、小さな事故と、深刻な結果を招いた重大事故とに分かれます。これらの、結果を招いた事故プロセスを読み解くことが再発防止に向けた報告義務の目的のひとつです。

保育の安全ガイドラインと保育の事故データベースをつかう

「息子の死を再発防止につなげたい」(※)遺族や保育の事故を検証した関係者の想いに応えるために、あなたの目の前で起こる同種ながら、別の、重大な結果を招く事故に対応できるように、これらの報告書を読んでいただけることを願っています。

また平成27年12月の最終取りまとめを踏まえて、保育施設における事故防止と事故発生時の対応の推進に向けて「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が作成、発表されました。保育のデータベースに掲載されつづけている事故事例も参考にしながら、保育の事故対応について技能を高めていきましょう。

  1. 教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
    http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/index.html#kyouiku_hoiku
  2. 特定教育・保育施設等における事故情報データベース
    http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#database

(※)プール事故死した3歳長男「生と死」の意味はどこにある…法廷の両親の思い、「再発防止」の願いは届くか
(2014.12.21 産経ニュース)
こうした現状を、名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)は「教育現場の多くの事故は『不可抗力』とされる。そのため、次の事故を起こさないための事実究明と共有が行われていない」と批判。「対策を怠ったから起きた事故がたくさんある」と、事実究明と情報共有の重要性を強調している。それは「息子の死を再発防止につなげたい」と、裁判にかける両親の思いと共通するものだ。

※ 関連:消費者安全法第 23 条第 1 項に基づく事故等原因調査報告書
(平成23年7月11日に神奈川県内の幼稚園で発生したプール事故に係る事故等原因調査について)

書籍【保育救命】~保育者のための安心安全ガイド~

【読者の声】園で子どもたちをのびのびと遊ばせてあげたいけれど、安全面が気になってしまって、禁止ばっかりを作りがちでした。でも、ここにのっている、ハザードマップを作れば、事前に予防ができそうだし、とっても簡単なので、忙しい私たちでもできそうなので、早速やってみたいと思っています。 怪我の対処法も、チャート式で簡潔になっているのでわかりやすいです。かなりオススメですよ。【評価:★★★★★】

【読者の声】保育現場のケガの手当て、事故対応の決定版といえる1冊。チャート式で、緊急時に何をしたらいいかの判断がわかりやすいと大好評。ハザードマップをつかったヒヤリハットの対応から、不安の大きな保護者対応まで、これ1冊で準備できます。【評価:★★★★★】

  • 筆者紹介
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遠藤 登(安全管理研修担当)

1993年に保母資格と教諭免許を取得。幼稚園勤務等を経て保育所の園長職兼、子どもの傷病者対応を専門とした救命処置法の普及活動を開始しました。2011年お昼寝中に心肺停止した園児を救うことが叶わず現在の活動に至る。株式会社保育安全のかたち代表取締役/ 保育現場のリスクマネジメントをテーマとした書籍を執筆(単著・共著ほか)

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 保育者は、安全な保育のためにどのような専門技能を習得したらいいのでしょうか。保育事故の訴訟報道には必ず「注意義務」という言葉が出てきます。福祉の保育もサービスの保育も仕事として契約した時点で注意義務 ...

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