保育施設で、子どもたちが安心して、元気にあそぶことができる、子どもの発達を保障する安全な保育環境づくりを応援していくためのガイドブック、「保育救命」がメイトのひろばブックス(月刊ひろば別冊)から出版以来、7刷まで増刷して絶賛好評発売中です。
【読者の声】分かりやすく、読みやすかったです。期待以上の内容でした。満足してます。【評価:★★★★★】
【読者の声】誤嚥やアナフィラキシーへの対応など緊張度の高い場面を想定して購入しましたが、そういった重大事故だけでなく、日常で起こりやすいケガなどへの対処も勉強になりました。この本が手元にあれば、「何か起こったとしても対応できる。大丈夫!」と思え、とても心強いです。【評価:★★★★★】
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保育救命は、のびやかな保育において避けて通れない子どものケガを丁寧に手当てしたい、子どもが安心して、もっと元気にあそべるようにしたい保育者の皆さんを応援します。そして、子どもの命にかかわる保育施設の重大な事故を減らして、子どもの泣き笑いを、共によろこびあえる、その当たり前の保育の日常を守ることを目指しています。よろしくお願いします。
元看護師イラストレーターの図解と応急手当の判断チャート
子どもが落ちて、頭をぶつけたんだけど、どうしたらいいんだろう?と迷って動けなかった。そうならないためには、子どもがすべり台から落下して、頭を打ったら、どのようなことが起こるのか?、小さな子どもの窒息事故は、うつぶせ寝以外にどのようなときに起きやすいのか、子どものカラダの仕組みや、事故の原因を知っておくことが大切です。
「保育救命」では、応急処置のやり方を解りやすく伝えるだけじゃなく、子どものカラダの仕組みについても、読者に知っていただけるように、ふんだんにイラストを掲載しました。元看護師のイラストレーターさんの手による、かわいくデフォルメしつつも、重要なポイントの違いがストレートに伝わる、細部までこだわったイラストばかりです。
保育現場で刻々と変化するシチュエーションに対処するチャート
保育救命では、子どものケガや事故の対処法を伝えるというだけでなく、保育者の皆さんが、保育現場で子どもを手当てするシチュエーションで役立つことを目的としています。保育の流れの中で、刻々と変化していく事故状況や、ケガの様子に合わせて、優先される判断内容と、その先の手当てについて、イラストとともに解りやすいチャートに表しました。
保育者がうろたえやすい出来事のひとつに、子どものケイレンがあります。
左右差はないか、5分以上ケイレンしていないかを見て、口にタオルを押し込まないなど、初期症状へのポイントは知られています。それとともに、ケイレンは治まったけど呼吸が止まりそう?だったり、軽いケイレンのように見えたんだけど、子どもの意識はモウロウとしたままなど、初期症状の次に迎える変化についても、落ち着いて対応していただけます。
ヒヤリハットを集めて終わりにしないハザードマップづくり
子どもがケガをする手前の、保育者がヒヤリとしたこと、ハッとした出来事を「ヒヤリハット」と呼びました。ハッとするかどうかは個人差で異なります。ヒヤリとしなければ、なかったことになったのでは、保育現場で子どもの事故を予防することができません。
保育救命では、保育者がハッとしたかどうかに関係なく、大なり小なり事故になる可能性があると気づいた出来事(「気づく」ことは、やり方が判ればだれでも同じようにできます)をヒヤリハットと呼んで、すばやく職員間で共有することをおススメしています。
ハザードマップと指導計画をむすんで保育のPDCAをまわす
共有するための方法のひとつが「ハザードマップ」です。ハザードマップとは、重大事故の防止を目的に、ヒヤリハットや事故を目に見える形に記載したものです。シフトですれ違う職員同士でも共有がしやすく、視覚化することで、課題を発見しやすくなります。
ハザードマップで保育現場の課題が見えてきたら、保育のPDCA(P「指導計画づくり」、D「活動の実行と応急手当」、C「保育体制の評価」、A「保育環境の改善と保護者対応」)サイクルを進めていきます。保育救命では、全体をPDCAの進行に合わせて構成することで、保育にともなう継続的な安全衛生管理手法の理解が深まるように心がけましょう。
参考:厚労省「労働安全衛生マネジメントシステム」(OSHMS)
OSHMSは、事業者が労働者の協力の下に「計画(Plan)-実施(Do)-評価(Check)-改善(Act)」(「PDCAサイクル」といわれます)という一連の過程を定めて、継続的な安全衛生管理を自主的に進めることにより、労働災害の防止と労働者の健康増進、さらに進んで快適な職場環境を形成し、事業場の安全衛生水準の向上を図ることを目的とした安全衛生管理の仕組みです
保育の事故を保護者に冷静に受け止めてもらう連絡帳の書き方
保育現場で子どもがケガをしたとき、上手に応急手当ができたら終わりではありません。状態にあった応急手当ができることはもちろんのこと、お迎えにきて事故の様子を伝え聞く保護者へ、保育に対する不安が解消されるような保護者対応が求められます。
お迎えにきたときにお話するだけでは、子どもの様子や、今後の対応について伝えるにも不十分です。保護者が聞き流してしまったことを後から確認してもらうためにも、連絡帳やお便りの役割は大きくなります。そこで保育救命では、日常に書く連絡帳やお便りの文例と、事故が起きてからの文例とを取り上げ、それぞれ3つのポイントをお届けします。
お便りは保護者が理解を深めて心の距離を縮める大切なツール
連絡帳を丁寧に書いたとしても、何を考えているのか判らない人から謝られるより、信頼し合っている相手ほど、謝罪も受け入れやすいものです。そこで利用したいのが園お便りです。構成しだいで、保護者の皆さんが保育への理解を深めて、保育者との心の距離を縮めることにも役立ちます。保護者対応の信頼が高まることが期待できます。
たとえばケガの応急手当ひとつとっても、保育者と保護者とで手当てのやり方の認識が違って、保育者ができることをやりきっても、間違った対応だと苦情が出ることがあります。お便りに、職員が研修を受けたことを掲載すると、応急手当についての認識を一緒にするとともに、保護者が保育の根拠のひとつを知ることになって、理解を深めてもらえます。
保育への注意義務にもとづく初めての応急処置ガイド
くり返しとなりますが、「保育救命~保育者のための安心安全ガイド~」は、保育者の皆さんに、保育現場で子どもを手当てするシチュエーションで役立ててもらうことを目的とした本です。保育者の良心だったり子どもへの愛情以上に、注意義務に基づいて、職務として、応急手当を行なう必要がある保育者に向けた本となることを最も意識しました。
保育救命は、PDCAサイクルに合わせた、1章から4章までの構成をもとに、ハザードマップのつくり方や、応急手当の判断チャートにそった処置の行ない方のほか、保護者対応について取り上げました。本書を参考に、これらの項目が、密接につながりあいながら継続して実施されることで、安全な保育体制が全国でつくられていくことを願っています。
読むだけで終わらないパートナーと考えるワークショップつき
しかし、どれだけ熱心な読者がいてくださったとしても、職務として応急手当を行なうためには、読むだけ、イメージトレーニングだけでは、残念ながら十分ではありません。そこでよりよい園外、園内の研修を受けていただくためのポイントも載せています。
救命講習といえば、日本でもっとも受講者の多い消防署の講習を依頼するときの注意ポイントのほか、本書をつかって同僚と一緒に考えながら進めるワークショップなどを掲載しました。お手元に置いておく実用書の1冊として、購入をご検討いただけたらうれしいです。
【保育救命】~保育者のための安心安全ガイド~を、よろしくお願いいたします。